更新:2008年8月6日
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ホームページ

●初出:月刊『潮』1996年3月号「市民講座」●執筆:坂本 衛

Question最近、インターネットやホームページという言葉を
よく聞きます。どういうことですか?

Answerはい。まず「インターネット」とは何かを説明し、その後で「ホームページ」にふれることにしましょう。

 いま、コンピュータ技術や通信技術の目覚ましい発展によって、コンピュータのネットワーク化が急速に進んでいます。つまり、世界中のコンピュータが、網の目のように張り巡らされた通信回線によって結ばれ、コンピュータ・ネットワークが刻一刻と広がり続けています。

 このネットワークは初め、ある特定の目的をもつ個別のネットワークとしてスタートしました。たとえば、一九七〇年代に米国防総省が主要都市や大学を結んでつくった軍用のARPA(=アーパ)ネットがそれ。以来、研究用や商用にさまざまなネットワークがつくられました。

 これらを統合し、地球を覆う巨大な「ネットワークのネットワーク」として始まったのが、インターネットなのです。インターネットと呼ばれる特別なネットワークが存在し、それをある会社が管理しているというわけではありませんから、この点を誤解しないでください。

インターネットとは?

Questionインターネットというネットワークは、
だれでも利用できるのですか?

Answerパソコンと電話(回線)さえあれば、だれでもインターネットを利用できます。正確な統計はありませんが、現在、百数十か国で、合わせて二〜三千万人が利用していると思われ、日本での利用者も二〜三百万人以上といわれています。

 利用するには、以前からあるパソコン通信ネットワーク(富士通、NECなどが提供)に入るか、インターネット接続会社のサービスを受けるかします。これで、個人のパソコンが世界中のコンピュータとつながります。

Questionインターネットで、
どんなことができるのでしょう?

Answerまず「電子メール」ができます。これは文字通り、電子郵便のこと。インターネットを介して、パソコン上で世界中の人と電子メールをやりとりできます。同じ郵便を一度に多数の相手に送ったり、届いた郵便を引用したり加筆したりして送り返すこともできます。

 一瞬で送ることができる点は手紙より便利、相手がいなくてもよい点は電話より便利、紙を使わず届いた文書をそのままコンピュータ処理できる点はFAXより便利というわけです。

 「電子掲示板」とか「電子ニュース」などと呼ばれる利用法もあります。これも、パソコン上で世界中の人が見ることのできる、文字通り掲示板のこと。読んだ人が、掲示してあるニュースに追記することも簡単にできます。

 最近は、企業や政府機関などがインターネットを通じて続々と「電子ニュース」の提供を始めています。これを本に見立てて最初の画面を「ホームページ」と呼び、A社が新しく掲示板サービスを始めることを「A社がホームページを開設する」などというのです。

 このほか、インターネットでは、アメリカのある都市に置かれたコンピュータを、自分の部屋に置かれたコンピュータのように使うこともできます。

ホームページとは?

Questionインターネットで見ることのできる
ホームページについて教えてください。

Answerインターネット上の代表的な情報(情報データベース)にWWW(=ワールド・ワイド・ウェブ。ウェブはクモの巣の意味)があります。WWWは、コンピュータ・ネットワークのさまざまな場所にある情報を、だれでも利用できる情報として公開するためのもの。たとえば、どのパソコンからでも「http://www.whitehouse.gov」と打ち込めば、アメリカのホワイトハウスのホームページを呼び出すことができます。

 ホームページは、本でいえば表紙と目次にあたり、情報の内容をわかりやすく示したタイトルと、ほかの画面に飛ぶいくつかの選択ボタン(メニューと呼ぶ)がついています。あるボタンを押すとその画面に飛び、文章を読むことができます(なお、表紙・目次と各ページの本文を合わせた、一冊の本にあたる全体をホームページと呼ぶ場合もあります)。

 実際には、パソコンの画面に出る小さな矢印を、マウス(ネズミに似た形の機械で、底にボールがついており、机の上を滑らせて使う)でボタンの上に移動させ、マウスの背についたボタンを押すのです。この作業を、音の連想から「クリックする」といいます。

 ホワイトハウスのホームページから、クリントン大統領ファミリーの紹介に飛び、出てきたネコの画像に矢印を合わせてクリックすると、「ニャー」と鳴きます。パソコンと電話があれば、だれでも好きな場所から好きな時間に、米大統領一家のネコの鳴き声を聞くことができるわけです。ただし、本文を読むのは、何しろ全部英語ですから大変です。

ネットサーフィンで楽しむ

Questionホームページの情報は、
音声や画像でもよいのですね?

Answerええ。情報は文字に限らず、音声、画像、動画などを組み合わせることができます。複雑な画像や動画を送ると、それだけ時間がかかります。

 ほかに例を挙げると、朝日新聞の提供するホームページからは、朝日新聞(新聞記事)、ニュース速報(街頭の電光掲示板に流れる記事)、リリース(企業の新製品や情報などのニュースリリース)、英文記事、天気予報、広告一覧、求人情報などにジャンプできます。一行だけのニュース速報から、気になるものをクリックすると、その項目の詳しいニュースが出てくるという具合です。

 日本では、ホワイトハウスにならって首相官邸のホームページが開かれたほか、企業、政府機関、自治体などが、さまざまなホームページを開設しています。コンピュータ・ネットワークのメッカ、アメリカでは、さまざまなジャンルで数え切れないほどのホームページがつくられているのです。

 インターネットによって、情報から情報へ遊び感覚で渡り歩くことを指して「ネット・サーフィン」という言葉も生まれました。インターネットは大海原、情報は波、パソコンの前に座っている人はサーファーというわけです。

インターネットの光と陰

Questionインターネットは、新しいビジネスや
新しい文化を生み出しそうですね。

Answerそうですね。企業や公的機関が、インターネットをテレビ・新聞・雑誌・折り込みビラなどに代わる新しい情報伝達メディアとして注目し始めたほか、新しいインターネット・ビジネスも登場しています。

 広島の家電ディスカウント店・ダイイチは、インターネットによる洋書注文代行サービスで年商四億円を稼ぎ出しています。これは、インターネットを介して洋書の注文を取りまとめ、海外の書店に一括注文し、輸入した本を宅配便で届けるというもの。これまでより早く本を入手でき、決済も注文当日の為替レートでよいと評判にです。ところがこの新事業、社員数人とパソコン何台かがあればよく、初期投資額は二〇〇〇万円しか必要としなかったといいます。

 インターネットからは、こうした新しいビジネスが続々と芽生えています。パソコンと電話さえあれば、アイデア次第で、日本全国はもちろん全世界を相手にビジネスできるのが、インターネットなのです。

 もっとも、「公用語」が英語であるために本当に使いこなすにはかなりの英語力が必要なこと、日本では回線料金が高いこと、秘密保持などセキュリティ上の問題があることなど、インターネットはまだまだ高いハードルを抱えていると思います。

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